休憩時間は社員が労働から離れることが保障される時間
昼休みの時間帯に訪れる来客や電話の対応のために、一部の社員に居残りをさせている会社もあります。
休憩時間中にこのような待機をさせることは法律上許されることなのでしょうか?
これは当然ながら休憩時間にはならず「手持ち時間」とみなされ労働時間になります。
「手持ち時間」とは、業務に従事しているわけではないが指示があり次第直ちに業務に従事しなくてはならない時間です。
例えば、店員がお客様が来るまで待っている時間、貨物の積み込み係が貨物自動車の到着を待っている時間、休憩時間中の電話当番待機などが該当します。
労働から完全に離れることを保障されていないので、休憩時間ではなく労働時間に該当します
休憩時間は、社員が権利として労働から離れることを保障されている時間、すなわち実質的に会社の指揮命令から完全に離れることを保障されてる時間なのです。
労働基準法では
・勤務の途中で付与し疲労を回復させることができる
・社員に一斉に付与し全員でしっかり休むことができる
・労働から完全に離れ自由に利用することができる
以上の3点を満たしているものが休憩時間とされています。
そうは言っても実際問題、この3点を満たすことができない会社も多いはずです。
そういった場合は、労使協定を締結して、法律に抵触しない範囲ならアレンジは可能です。
なお、この労使協定は所轄労働基準監督署への届出は不要です。
会社の実状に合わせた休憩時間を設定できるようポイントを抑えていきましょう。
休憩は業務効率を上げる
仕事の内容によっては顧客対応等で計画した通りの休憩時間がとれないこともあるでしょう。
しかし、休憩を取らずに長時間集中力を保つことなんてできません。
適度な休憩を労働時間の合間にとることで、ミスや仕事の効率の低下を防ぐことができます。
休憩を取らずに長時間労働をしていると、疲れて無意識のうちに態度や表情に表れてしまいます。
そういった社員の態度や表情は職場の雰囲気を悪くするだけでなく、顧客への対応にも悪影響を与えることになります。
休憩は会社にとって数字には表れない非生産的な時間ではありますが、適切に与えることが生産力アップにつながります。
本来は会社が余裕を持って人員を確保すべきですが、現実問題としてそれが難しいことも十分考えられます。
まずは休憩時間を分割し、仕事の合間、合間に入れる。アルバイトの人数を増やす。などの対応をとっていきましょう。
ポイント
労働時間(手待ち時間を含む)と休憩時間をきちんと分けて、しっかりすっきり休憩させましょう。
休憩は何分与えればいい?
社員の労働時間が6時間を超え8時間以内の場合は少なくとも45分。
8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければなりません。
この休憩時間は、1日の中で何回かに分割して与えることも許されています。
労働が長時間継続すると、社員の身心に疲労をもたらすうえ、災害が起きやすくなったり、能率が低下したりするおそれもあるので、疲労回復のために休憩時間を与えることとしたものです。
行政通達によると、休憩時間とは、一般に労働時間の途中に置かれた、社員が権利として労働から離れることを保障された時間であると定義されています。
そして、権利として労働から離れることを保障されているか否かは社員がその時間を自由に利用できるかどうかという観点から判断するとされています。
休憩時間は自由に利用できますが、会社が危険性のあるスポーツを禁じたり、他の労働者の休息を妨害する様な行為を禁止したりする事は可能です。
また、休憩時間中の外出については許可制は難しく、実務的には届出制にとどめておくのが無難です
なお休憩時間は労働時間の途中に与えなければなりません。
休憩は一切に取るのが原則
休憩時間は一部の事業を除き原則として一斉に与えることとされています。
一部の事業とは一斉に付与すると業務に支障がでる旅客や貨物の運送事業、金融・保険の事業、旅館や飲食店等です。
またこれらの以外の事業でも労使協定を締結することによって、休憩時間を交代制とすることができます。
よって、休憩時間の交代性が必要な事業の場合には、その条文を就業規則に記載しておくと良いでしょう。
なお、この労使協定には休憩時間を交代で当てる社員の範囲や、休憩時間の与え方等について記載することになります。
一斉休業の例外
・運送業
・商業(小売・卸売・理美容)
・金融業、保険業、広告業
・保健衛生業(病院)
・接客娯楽業
・官公署
ポイント
休憩は一切に取るのが原則です。個々にとっている場合は労使協定が必要です。
下のバナーから、すぐに使える「一斉休憩の適用除外に関する労使協定書」がダウンロードできます。
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御社の、状況に合わせて事由に改変することができますので、ご活用ください。